こんにちは、yoshi(@y_mupic)です。
ギターのエフェクターには「ブースター」と呼ばれるものがあります。
これは、入力された信号を増幅させる役割をもつエフェクターペダルで、色んなギタリストさんが使っていますが、この「ブースター」というペダルは接続位置によって得られる効果が異なります。
今回は各接続位置による得られる効果の違いについて解説してみます。
パターン1:歪みエフェクターの直前
歪みエフェクターの直前にブースターを入れると、後段の歪みエフェクターのゲインをアップさせる効果を得られます。
「歪みエフェクターのゲインをアップさせる」とはどういう意味かというと、誤解を恐れずわかりやすく言えば、後段につながれた歪みエフェクターのゲインつまみをアップさせる方向に回すのと同じ効果を得られるということです。
正確には違いますが、わかりやすく言えばそんなイメージです。
つまり、歪みが深くなります。
なので、曲中での歪み量のコントロールができるようになります。
AメロBメロはクランチ、サビで歪みを深くしてオーバードライブくらいの歪みにしたい場合は、サビに入った時に歪みの直前につないだブースターをオンにすることで、曲中で瞬時にゲインアップ(歪み量アップ)させることができます。
なお、注意事項としては、後段の歪みエフェクターが十分に歪んでいる状態(例えばゲインノブを全開にしている状態)だと、前段のブースターペダルをオンにしても歪みは増えませんし、音量も増えません。
これは、歪みエフェクター単体で、すでにそのペダルが許容するゲインの上限に達しているためです。
なので前段でいくらブースターを使ってゲインブーストさせても、それ以上の効果は得られません。
パターン2:アンプの直前
歪みエフェクターの後段、あるいは、アンプの直前にブースターを入れると、アンプのゲインをアップさせる効果を得られます。
原理的には、パターン1で記載した内容と同じです。
ただ、”歪みペダル”をブースターによってゲインアップさせることと、”アンプ”をブースターによってゲインアップさせることは、サウンド的には大きな違いがあります。
歪みペダル(ここではコンパクトエフェクターとする)と比べると、ギターアンプは”ヘッドルーム”が大きいため、ギターアンプの直前でブースターをオンにすると、歪みを深くする効果よりは音量を大きくする効果の方が強く働きます。(もちろんアンプ側の設定によりますが)
よってギターソロ時に音量を持ち上げてギターを目立たせたい時なんかに有効です。
ちなみに、”ヘッドルーム”とは何かというと、イメージ的には音声信号を許容できる天井の高さを意味する言葉です。
“ヘッドルームが大きい”ということは、音声信号を許容できる天井の高さが高い状態を示しており、つまりゲインを大きくしてもなかなか歪まない(音量は大きくなる)という特徴があります。
歪みペダルとギターアンプを比べると、ギターアンプの方がヘッドルームが大きいので、このような違いが生まれます。
なお、アンプ側で十分に歪ませるセッティング(ゲインつまみMAX)の状態になっていれば、ブースターをオンにしてもほとんど歪みは増えませんし、音量も増えません。
これは、原理的にはパターン1で書いたことと同じです。
番外1:アンプの後ろ
アンプの後ろというのは、つまりブースターをアンプのセンドリターンに繋いだ状態という意味で捉えてください。
これは言い換えると、アンプのプリアンプの直後、パワーアンプの直前ということになります。
よって、パワーアンプに送る信号の大きさをブーストさせることになるため、音色変化を伴わず純粋に音量アップを狙った効果が見込めます。
ただし、あんまりやってる人をみたことはありません。
そもそも、一般的なコンパクトエフェクターの場合はアンプのセンドリターンに繋ぐのに適した設計になっていません。
番外2:バッファーとして使用
エレキギターから出力される電気信号というのは非常に微弱な信号(ハイインピーダンス)です。
なので、信号劣化やノイズに弱い特徴があります。
ブースターペダルに限りませんが、何かしらのエフェクターをつなぐことで、そのエフェクターの回路の中でギターの信号はローインピーダンスに変換されて出力されます。
音色変化をさせないクリーンブースターをギターの直後に接続し、ギターのハイインピーダンス出力をローインピーダンスに変換させることで、ノイズ対策に使うという活用方法もあります(このような役割をするエフェクターをバッファと呼んだりします)
豆知識:ブースターペダルの18V昇圧について
ブースターペダルの中には、一般的なコンパクトエフェクターで使われる電圧の9Vだけでなく、18Vの電圧に対応したものがあります。
9Vと18Vの違いは何か?
というと、上でも登場した”ヘッドルーム”に違いが生まれます。
電圧が大きい方がヘッドルームが大きくなるため、歪みにくくなります。
よって、なるべく歪ませずに”クリーン”に信号を増幅させるという目的で使われるクリーンブースターというエフェクターは、18Vで使った方がヘッドルームを大きくできるので、より一層その効果を発揮できます。
スーパーギタリストの菰口雄矢氏も、EP BOOSTERを18Vに昇圧させて使っています。
なお、歪みエフェクターでも9Vと18V両方OKのものがありますが、上記の通り、電圧が大きい方がヘッドルームが大きくなるため、18Vの方が歪みにくいです。
これはアンプでも同じで、10Wのアンプより50Wのアンプのほうが歪みません。
なので、ギターのレコーディングに関して言えば、大きい出力のアンプより小さい出力のアンプの方が綺麗に歪みをレコーディングできたりします。
例えば、デレク・アンド・ザ・ドミノス(エリッククラプトン)の「いとしのレイラ」という名曲がありますが、これはFenderのChampという5W程度の小型アンプでレコーディングされています(確か)
余談でした。
まとめ
ブースターペダルは非常に奥が深いです。
まず、ブースターペダルだけでも色んな種類があります。
例えば、EP BOOSTERのようにゲインノブ1つだけのクリーンブースターもあれば、トーンノブや2band/3bandイコライザがついたものもあります。
歪みエフェクターをゲインノブを絞って使えばブースターとして使えますし、
グラフィックイコライザもブースターとして使えます。
これら、多種多様なブースターペダルと、それを組み込む順番によって、いろんなサウンドが出せるので、色々試行錯誤してみてください。
僕が愛用しているEp Boosterの記事はこちら!